対スリザリン戦は接戦で、点を取られれば取り返すという感じだった。
だれよりも興奮していたのはマクゴナガル先生で。
彼女は始終、実況中継のレイブンクロー生のとなりで食い入るように試合の様子を眺め、点が入ると嬉しそうに飛び跳ねたりしていた。
となりのリリーもじっと試合の行く末を見守ってる。心配そうに見つめるその視線の先を追うと、ひとりスニッチを探すジェームズがいた。
おどろいてリリーを見返したら、彼女は突然「ひゃっ」と声を上げた。
ジェームズがいきなり急降下しはじめた。最初は落ちたのかなと思ったけど、すぐに下の方で勢いよく飛んでくのが見えた。
ほっとして観客席の方を見る。少し離れたところに、リーマスがいた。
彼も興奮気味のシリウスのとなりで試合に見入ってた。身を乗り出しては、勢いよく飛ぶ選手を目で追ってく。
と、次の瞬間、わあっと輝かんばかりの笑顔でシリウスに笑いかけているのが見えた。
「やりました、ジェームズ・ポッター!グリフィンドールが175点を獲得しました!」
あまり見たことのない、リーマスのきれいな笑みにどきどきしながら、はぼんやりとしていた。
「、!どうしたの、グリフィンドールが優勝したのよ!」
リリーに声をかけられるまで、周りの寮生がみんな立ち上がって歓声をあげているのに気がつかなかった。
あわてて腰を上げてクイディッチ場を眺める。
場内の真ん中では高々とスニッチを持ち上げて笑ってるジェームズがいる。
彼がこちらを向くたび、グリフィンドール寮がものすごい歓声に包まれた。
私も周りにまけじと、拍手をする。
「ではマクゴナガル先生、一言お願いします!」
「みなさん、よくがんばりました!くれぐれも寮に戻ってからハメをはずさないように!」
彼女の言葉にこっそりウインクをしたジェームズが見えた。
(2010.08.02)
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